毎年春が来ると、オランダではまるで万華鏡のようにたくさんの花が咲き誇り、景色が鮮やかさを取り戻します。チューリップと言えばオランダの代名詞。南ホラント州、北ホラント州、フレヴォラント州にある数々の農園では、毎年3月から5月にかけて色とりどりの花が咲き乱れます。オランダでチューリップの名所を訪れて、変わりゆく季節を満喫してみるのはいかがでしょうか。
花が好きな人なら誰でも「キューケンホフ」という名前を知っていますが、サイクリングしながら花畑を巡るのが最高なお花見の方法であることを知っている人は真のチューリップ通です。そんな方たちにおすすめなのが、オランダ屈指のチューリップの名所であるノールトウェイクという町とノールトウェイケルハウトという小さな村です。
1日余裕があれば、自転車でノールトウェイクの花畑を巡ってから、海辺の町カトウェイクに向かうのもよいでしょう。晴れた日にぴったりの観光コースですし、サステナブルな方法で現地のチューリップ農家をサポートすることにもなります。デ トゥルペライなど多くの農場では、有料のチューリップ・ツアーを実施しています。
ノールトウェイク・アーン・ゼーにあるアレキサンダー ホテル(Alexander Hotel)に滞在すれば、海と花畑に挟まれて両方の眺めを一度に楽しむことができます。
リッセはノールトウェイクからそう遠くない所にあり、普段は眠っているように静かな町ですが、春になるとチューリップを愛する観光客がリッセにあるキューケンホフ公園に押し寄せます。キューケンホフ公園は手入れが行き届いている一方、混雑する観光スポットを避けて「天然生息地」に咲いているチューリップを見たければ、リッセ周辺のチューリップ畑は必見です。自転車専用道路が整備されており、オランダの「ボレンストリーク(球根地帯)」を巡るのにぴったりの環境が整っています。一般公開されているチューリップ畑では、花を大切にすることを心がけ、貴重な花に触れないようにしましょう。
昔ながらの名所、キューケンホフ公園には32ヘクタールに及ぶ花畑が広がっています。ここでは、700万株もの花が見事に咲き誇り、800種を超えるチューリップを楽しめます。開園期間は毎年3月中旬から5月中旬までの2か月間。園内には数多くのパビリオンがあり、チューリップの歴史や球根栽培、フラワーデザインを学ぶことができます。
チューリップ畑のガイド付きツアーも毎日開催されています。時間を最大限に活用して近くの観光スポットも楽しみたい方は、チューリップ畑とデルフトを巡るツアーを予約してみるのもよいでしょう。ガイド付きツアーで庭園を巡った後は、中世の趣が漂う美しい街デルフトを散策しましょう。
キューケンホフ公園に近い宿泊先としては、公園からわずか800mの所にあるブティック スイーツ リッセ - スキポール(Boutique Suites Lisse - Schiphol)がおすすめです。
アムステルダムは17世紀にオランダ全土を席巻したチューリップバブルの中心地でした。チューリップバブルは1634年から1637年の短期間に発生したもので、オランダ全土がチューリップの取引に熱狂し、経済はバブル状態になった末に崩壊しました。チューリップは今でも愛されているものの、アムステルダムではチューリップバブル以降、チューリップに熱狂することはなくなりました。それでも、年に1回開催されるアムステルダムのチューリップフェスティバルでは、熱狂的なチューリップ人気を復活させることを目指しています。もちろんバブルにならない程度にですが。
国花であるチューリップを記念するこのフェスティバルは4月いっぱい開催され、アムステルダムの有名な建物や地区が新鮮な花で彩られます。公共エリアの展示はすべて無料で楽しめますが、ミュージアムの庭園では通常の入場料を支払う必要があります。アムステルダムは周辺の田園地帯に出かけるのに便利な拠点でもあり、ここから美しいチューリップ畑を巡るツアーが数多く開催されています。中でもチューリップ畑とオランダ風車のツアーでは、これぞオランダという体験ができ、文化や歴史にまつわる名所も見学します。宿泊先としては、中心地にあるライツェ広場の近くという最高のロケーションを誇るホテル ウェバー(Hotel Weber)がおすすめです。
花壇に植わっているチューリップがあまり好みではなければ、フラワーパレードはいかがでしょうか。ブルーメンコルソ(オランダ語で「フラワーパレード」という意味)では、たくさんの山車がノールトウェイクからハーレムまでを練り歩きます。午前中に始まるパレードは、マーチングバンドに先導されながら42kmのルートをたどり、夕暮れにハーレムの町にたどり着いてフィナーレを迎えます。活気と色彩に満ちあふれ、本当に楽しいパレードです。
フェスティバルを1日満喫した後は、会場から数分歩けば辿り着けるホテルでゆっくりするのが良いでしょう。ファン デル ヴァルク ホテル ハーレム(Van der Valk Hotel Haarlem)またはアムラス グランド ホテル フランス ハルス(Amrâth Grand Hotel Frans Hals)でゆっくりおくつろぎください。どちらのホテルも快適さ、清潔さともに高評価なので、ぐっすりお休みいただけます。
飛行機で直接アムステルダムに来た方は、地図を見るとフレヴォラント州が遠いと感じるかもしれません。しかし、北東ポルダーのチューリップルートはちょっとした日帰り旅行にぴったりで、まさにドライブにうってつけです。この州は観光客が他の観光スポットよりもずっと少ないため、北上する旅は満足度の高いものになるでしょう。
のどかな田舎は新鮮な空気と鮮やかな色に満ちており、一面に広がる素晴らしい風景は絶好の写真スポットです。この100kmほどのルート沿いにはカーペットのような色とりどりの野原が広がっており、途中にあるギャラリーや小さな町には花を題材にしたユニークな作品が飾られています。クラヘンブルグはそのような場所の一つで、フレヴォランド州ならではの古風な趣がある村です。北東ポルダーのチューリップルート沿いにあるアパートメント、スペルデホフ(Speldehof)で何泊かするのがおすすめです。